本研究では平成19年度〜20年度において超高分解能X線結晶構造解析と中性子線構造解析を相補的に用いることにより、水素原子を含めたJNK1の高精度構造を明らかにする。平成19年度はJNK1の超高分解能結晶構造解析を行った。(1)JNK1変異体遺伝子(大腸菌コドンを使用←高発現、7つのCysをAlaあるいはSerに変異←安定性)を発現プラスミドpET21bに組込み、大腸菌BL21(DE3)を形質転換、遺伝子発現を確認した。(2)形質転換した大腸菌に対してIPTGにより発現誘導をかけたところ、Wildタイプに比べて100倍以上のJNK1が生産されていることがわかった。大量培養した大腸菌を超音波破砕後、可溶性画分から高純度JNK1が、基質であるc-Junをリン酸化することをp-cJun抗体を使ったウエスタンブロットにより確認した。(3)得られた高純度サンプルを5mg/mlまで濃縮した溶液に阻害剤SP600125をけん濁して結晶化サンプルとした。結晶化条件の初期スクリーニングをCrystal Screen(Hampton Research)で行い、複数の条件で微小結晶を得た。現在、それぞれの条件の最適化を行っている。平成20年度は、19年度未達であった(4)(5)得られた結晶について、大型放射光において超高分解能X線回折データを測定し、JNK1-SP600125複合体の高精度構造を解析なう。さらに独自の種結晶法により結晶を大型化し、中性子線回折実験可能な結晶を得て構造解析を行う。
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