研究課題/領域番号 |
19570112
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
山口 宏 関西学院大学, 理工学部, 准教授 (10252719)
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研究分担者 |
日高 雄二 近畿大学, 理工学部, 准教授 (70212165)
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キーワード | 結晶化 / X線結晶構造解析 / フォールディング解析 / ペプチドホルモン / プロウログアニリン / 生理活性ペプチド / アミロイド前躯体蛋白質 |
研究概要 |
ペプチドホルモンの立体構造構築の制御を担うそのプロ領域の分子内シャペロンとしての作用機構を明らかにするために研究を遂行した。ウログアニリンおよび耐熱性エンテロトキシンのジスルフィド結合を基に人工ペプチドを設計し、その人工ペプチドをプロウログアニリンのプロ領域に融合させた人工タンパク質を二種類設計し、大腸菌で発現させ、精製する事に成功した。このハイブリッドタンパク質のフォールディングの過程を合成したペプチド部分との比較や、マススペクトルを用いる事により解析した。 また、アミロイド前駆体タンパク質のαセクレターゼ切断部位(S-APPα)の試料調製条件を詳細に検討し、SDS、Native-PAGEで単一バンドを示し、動的光散乱により溶液中に単分散で存在すると考えられる生成試料の調製法を確立した。このS-APPαのCDスペクトルを測定したところ、二次構造を形成している事がわかり、結晶構造解析に適した試料であると判断した。 これらの研究の過程で、ハイブリッドタンパク質やS-APPαの精製時に、アミノ酸やアミノ酸誘導体を添加する事によってタンパク質が安定化し、凝集がおこりにくくなる事を見いだした。そこで、タンパク質試料の調製時にアミノ酸やアミノ酸誘導体を添加する条件も詳細に検討した。さらに、モデルタンパク質としてリゾチームを用い、アミノ酸やアミノ酸誘導体の添加による結晶化に与える影響を詳細に検討した。これらの結果を総合して、ハイブリッドタンパク質、S-APPαともに、アミノ酸やアミノ酸誘導体を試料精製時と濃縮時に添加してタンパク質の収量を増すことに成功した。さらに、結晶化時にもこれらの小分子を添加する事によって、結晶構造解析に適した結晶を得るための条件検索を遂行した。現時点では、微結晶程度の大きさの結晶を得る事に成功しているが、X線回折実験等は今後の課題である。
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