研究概要 |
生理活性ペプチドの立体構造形成機構を解明するために、プロウログアニリン、プロオピオメラノコルチン(POMC)、S-APPαを用いて研究を遂行した。また、ウログアニリンおよび耐熱性エンテロトキシンのジスルフィド結合を基に設計した、人工蛋白質のフォールディングの過程を解析した。 POMCに関しては、空間群P1、a=33.9,b=54.7,c=76.8,α=70.6,β=81.2,γ=72.0°の結晶を得、Native結晶のデータをSPring-8において1.6A分解能まで収集した。また、プロウログアニリンは、これまでの2K変異体を用いる事をやめ、V1A変異体を用いたX線結晶構造解析とNMR構造解析に着手した。このV1A変異体の単離精製に成功し、結晶化条件の検索に着手した。このV1A変異体のNMR構造解析にも着手し、現在までにプロトンNMR測定と窒素を放射同位ラベルした15NによるNMR測定を行った。さらに、アミロイド前駆体タンパク質のαセクレターゼ切断部位(S-APPα)の精製条件を種々変更し、また結晶化条件の検索を続けたが良好な結晶は得られなかった。 人工蛋白質の解析では、ジスルフィド結合に着目したアンフォールディング反応の解析と、円二色性スペクトル測定によるフォールディング解析を行った。アンフォールディング解析の結果、人工タンパク質はプロウログアニリンと比べ、ジスルフィド結合を切断されやすいことがわかった。 ハイブリッドタンパク質やS-APPαの精製時に、アミノ酸やアミノ酸誘導体を添加する事によってタンパク質が安定化し、凝集がおこりにくくなる事を見いだした事を基に、アミノ酸などの小分子を加える事による効率的結晶化条件検索法を開発した。これらの新しい手法を結晶化条件検索時に適応し、上記の結晶構造解析に適した結晶を得るための条件検索を遂行した。
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