1.転写制御に関わるNEMOのユビキチン結合ドメインUBANとタンデムユビキチンとの複合体の結晶構造解析 NF-κBは、免疫、炎症、抗アポトーシスなどに関わる様々な遺伝子の転写を活性化する転写因子であり、NEMO(N__-F-κB e__-ssential <mo>___-dulator)により活性化される。昨年度はNEMOのUBANドメイン単独での結晶構造解析に成功した。UBANドメインはLys63でイソペプチド結合したポリユビキチンを認識すると報告されていた。Lys63の位置は3次構造上、ユビキチンのN末端の近くにあるため、タンデム(直鎖状)ユビキチンはLys63結合ユビキチンと同様にNEMOに結合すると考えられた。ところがNEMOとポリユビキチンとの相互作用を表面プラズモン共鳴により定量化したところ、驚いたことにNEMOとLys63結合2連結ユビキチンとの結合は検出できず、一方タンデム2連結ユビキチンとは強く結合する(平衡解離定数1.6μM)ことが判明した。タンデム2連結ユビキチンとNEMOのUBANドメインの複合体の共結晶化を行い、結晶構造解析に成功した。その結果NEMOはコイルドコイル二量体の両面で2分子のタンデムユビキチンを対称的に結合していた。タンデムユビキチンのN末端側とC末端側のユビキチンではそれぞれ異なる面がNEMOと相互作用しており、特に連結部分が強く認識されてタンデムユビキチンが選択的に結合することが明らかになった。 2.DNA修復に関わるYファミリーポリメラーゼの新規ユビキチン結合ドメインの結晶構造解析 昨年度はpolηのUBZ単独での結晶構造解析に成功した。今年度は引き続きpolηのUBZドメインとモノユビキチンとの共結晶化を行ったが結晶は得られなかった。一方polιのUBMドメインについてはタグタンパク質と融合させた状態で結晶化することに成功した。
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