HGF による肝癌細胞株HepG2の増殖抑制の鍵となるErkの強活性化には、HGF受容体c-Metにアダプター因子Grb2とGab1が結合することが必要であることを明らかにした。また、HGF刺激により転写制御因子Id1の発現量が減少し、それにより癌抑制因子p16が発現上昇することを見出した。Id1とp16は不可逆的細胞変化である細胞老化に係わることから、HGF刺激が不可逆的増殖停止を誘導する可能性を検討した結果、48時間以上のHGF刺激によりHepG2細胞の増殖停止が不可逆的になることを見出した。この結果は、HGF刺激により癌細胞が癌細胞でなくなることを示す重大な発見となった。
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