新規ユビキチン類似タンパク質であるMNSFβのアポトーシス調節機構を明らかにする目的で、マクロファージ系細胞株Raw264.7における調節機能の基礎検討を行った。Raw264.7細胞に種々の刺激でアポトーシスを誘導させて、その過程でMNSFβRNA干渉による効果を検討した。 1)最初に最適条件下でMNSFβsiRNAによりノックダウンできるようトランスフェクション試薬を比較検討した。その結果、従来の50倍以下の濃度でMNSFβの発現(mRNA/タンパク質レベル)を低減できる条件が求まった。 2)Raw細胞をLPSとIFNγで刺激を加えてアポトーシスを誘導したところ、MNSFβsiRNAM処理したRaw264.7細胞は対照(control siRNA)に比べてアポトーシス(DNAラダーおよび核のDAPI染色による観察)が抑制された。これはMNSFβがアポトーシス誘導過程において正に制御していることを強く示唆する。MNSFβsiRNAMで処理したRaw264.7細胞ではp53の発現が抑制されることを確認した。加えて、カスパーゼ3の活性化についても抑制されることを認めた。 3)Raw細胞をGSNOで刺激を加えてアポトーシスを誘導したところ、MNSFβsiRNAM処理したRaw264.7細胞は対照(control siRNA)に比べてアポトーシスが抑制された。これは、NO誘導性のアポトーシスにMNSFβが関与していることを示している。この観察結果はSNAPで刺激じた場合も同様であった。
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