トロポミオシンのトロポニン球状領域結合部位近辺をセグメント置換してCa^<2+>感受性をなくしたトロポミオシンとアクチンとの示差走査熱量測定をトロポニン存在下でカルシウムイオン濃度を変えて行い、制御機能欠損とアクチンートロポミオシン相互作用由来の吸熱スペクトルの遷移温度との関連を調べた。カルシウム存在では変異トロポミオシンは、正常なトロポミオシンに較べ、高温側に顕著な吸熱ピークが見られ、この高温側のピークはカルシウム不在下ではすべてのトロポミオシンにみられるものであった。 トロポミオシンのN端末からC端末迄の全長にわたっての特定位置にシングルシステイン残基をもつ変異体を作り、ここにプローブ(蛍光色素)を導入して、蛍光消光測定を行い、Ca^<2+>のトロポニンへの結合解離によりトロポミオシンがアクチンフラメント上を転がるという可能性を調べたが、そのような結果は得られなかった。 シングルシステイン残基をもつトロポミオシン変異体およびトロポニン変異体を使って、アクチンフィラメント上でのトロポニンートロポミオシン間の蛍光エネルギー移動測定を行い、カルシウムの結合解離によりトロポニンがトロポミオシン上で位置を変化させる詳細について調べた。これらトロポニンとトロポミオシン間の蛍光エネルギー移動効率のデータを使って、コンピューター計算により、トロポミオシン上にトロポニンコアドメインを置くトロポニンートロポミオシン複合体のアトミックモデルを作った。
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