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2008 年度 実績報告書

α/βの両二次構造を含む50残基の蛋白質の自由エネルギー地形を求める

研究課題

研究課題/領域番号 19570156
研究機関大阪大学

研究代表者

肥後 順一  大阪大学, 臨床医工学融合研究教育センター, 特任研究員 (80265719)

キーワードフォールディング / 自由エネルギー地形 / マルチカノニカル / WWドメイン / ヒューマニン
研究概要

本研究課題の目的は、数百万円の小規模な計算機を使い、全原子モデルでかつ溶媒分子を厳密に計算に取り込み、αヘリックスとβシートの両二次構造を含む50残基長の蛋白質の折れ畳み(フォールディング)問題を解く事である。
本年度は、マルチカノニカル分子動力学(McMD)シミュレーションを、クラスタ計算機(当科研費で昨年度購入)を用いて行い、水中での50残基蛋白質Pina WW domain(α/β両二次構造を含有)の自由エネルギー地形を得た。その結果、NMR実験で決定された立体構造との間で主鎖-RMSD(2つの立体講造主鎖間の構造の違いをA単位で表す量)が4A程度の構造を得た。これにより、当初の研究目標を達成した(論文執筆中)。
さらに構造探索効率を高めるために、独立な多数のMcMDシミュレーションからのデータを統合する手法を開発した(論文投稿中)。さらにこの統合技術を別の57残基のヘリックス蛋白質(human bifunctional glutamy1-proly1-tRNA synthetase; PDB ID=1FYJ)に適用し、天然構造が得られる事を確認した(論文投稿準備中)。さらに、得られた多様な蛋白質立体構造の作る構造空間の内部構造を、直感的に理解する解析法を開発した(論文)。また、昨年度末に投稿した論文が出版された(24残基蛋白質humaninの自由エネルギー地形を求めた。熱力学安定構造が溶媒条件に大きく依存することをMcMDで示した)。
以上の一連の研究から、水をあらわに取り込んだ全原子モデルでの蛋白質立体構造探索法は大きく進歩し、50残基蛋白質の自由エネルギー地形の算出が可能になった.一方、蛋白質が大きくなるに従い、新たな研究課題が見えて来た。それは、系のポテンシャルエネルギーを規定する力場(force field)の正確さの問題である。本研究課題でPina WW domainの天然構造を得たが、それは熱力学的には最安定構造ではなく準安定構造であった。今後は力場の精度を挙げる努力を行いたい。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Structure dependency of a 24-residue peptide humanin on solvent and preferential solvation by trifluoroethanol studied by multicanonical sampling2008

    • 著者名/発表者名
      Ryosuke Yagisawa
    • 雑誌名

      Chemical Physics Letters 455

      ページ: 293-296

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Protein-segment universe exhibiting transitions at intermediate segment length in conformational subspaces2008

    • 著者名/発表者名
      Kazuyosi Ikeda
    • 雑誌名

      BMC Structural Biology 8

      ページ: 37

    • 査読あり
  • [学会発表] アルファ/ベーダ両方の二次構造要素を含む40残基蛋白質のフォールディングシミュレーション2008

    • 著者名/発表者名
      肥後順一
    • 学会等名
      日本物理学会2008年秋期大会
    • 発表場所
      岩手大学上田キャンパス
    • 年月日
      2008-09-22
  • [図書] 物性研究2008

    • 著者名/発表者名
      肥後順一
    • 総ページ数
      4
    • 出版者
      京都大学物性研究刊行会

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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