リボソームは多数のタンパク質とRNAから構成される巨大分子複合体であり、その生合成過程では構成成分が秩序正しく会合する仕組みが重要である。NVL2は、分子複合体の構造制御に広く係るAAAタンパク質ファミリーに属するシャペロン様ATPaseであり、リボソームタンパク質L5やRNAヘリカーゼDOB1と結合することが示されている。DOB1は5.8S rRNA前駆体のプロセシングに関与し、エキソソームと呼ばれるエキソヌクレアーゼ複合体の補助因子として働くと考えられている。エキソソームは、約10個のサブユニットから形成される巨大なリング状複合体であり、サブユニットの多くはヌクレアーゼ様の構造を持つ。また動物細胞においては、DOB1とエキソソームがrRNA前駆体上に集積する際に、MPP6(M phase phosphoprotein 6)と呼ばれるRNA結合タンパク質がそれらのプラットホームとして働く可能性が提唱されている。本研究では、これらの因子が実際にリボソーム前駆体プロセシング複合体として機能し、それらの相互作用がNVL2により制御される可能性を検証することを目的とした。そこでまず、培養細胞発現系を用いて免疫沈降法およびプルダウン法による解析を行い、これら因子間の相互作用の有無を検討した。その結果、エキソソーム、MPP6、DOB1およびNVL2が複合体を形成して機能する可能性を支持する結果が得られた。
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