リボソームRNA(rRNA)が前駆体RNAからプロセシングにより形成される過程では、エキソソームと呼ばれるエキソヌクレアーゼ複合体と、RNAヘリカーゼであるDOB1が機能する。また、DOB1とエキソソームは、MPP6と呼ばれるRNA結合タンパク質をプラットホームとして、rRNA前駆体上に集積すると考えられている。我々はこれまでに、これらの因子が細胞内で複合体を形成し、AAA-ATPaseファミリーの一員であるNVL2と相互作用することを示してきた。平成20年度においては、NVL2のドミナントネガティブ変異体を用いて、リボソームの生合成を抑制し、このときに上記複合体の構成因子間相互作用に変化が見られるかどうかを、免疫沈降法やプルダウン法により解析した。しかし、これまでの解析では、その相互作用に影響を認ることはできなかった。つぎにこれらの細胞で、rRNA前駆体のプロセシング速度を比較するために、細胞をL-[methy1-^3H]methionineおよび^<32>P(無機リン酸)で標識し、パルスチェイス実験を行った。その結果、NVL2のドミナントネガティブ変異体を発現させた細胞において、28Sおよび5.8S rRNAの形成速度に減少が見られ、逆にそれらの前駆体は蓄積する傾向が見られた。以上の結果から、分子機構についてはさらなる検討を要するものの、NVL2がrRNAの形成に関与することが明らかとなった。
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