研究課題
小胞体(ER)とエンドソーム・リソソームに局在するSNAREタンパク質を中心にファゴサイトーシスの調節機構と抗原提示にともなう輸送機構の解明を目指し、本年度は以下の2点について研究を行った。(1)ファゴソーム形成におけるERとエンドソームの関与について:ファゴサイトーシスが抑制されているSec22b変異体の発現マクロファージ(J774/mVenus-Sec22b-R-SNARE)から単離したファゴソームを解析した。その結果、エンドソーム・リソソームのマーカータンパク質の局在化に大きな変化は見られなかった。つまり、ファゴソーム形成においてERが上位で機能している可能性が考えられた。(2)Sec22bが相互作用する細胞膜局在SNAREのSNAP-23について:SNAP-23がファゴソーム形成に関与するだけでなく、ファゴソームの成熟にも関与することを明らかにした。SNAP-23はファゴソーム上に局在することから、活性酸素産生分子群(NOX2複合体)や酸性加水分解酵素のファゴソームへの局在化の際に膜融合装置として機能する可能性が考えられた。またファゴソーム上のSec22bはSNAP-23と相互作用することで膜融合効率を制御しているのかもしれない。ファゴソーム内での抗原のプロセシングは、活性酸素のよる内部環境の調節(pHの中性化)や加水分解酵素の局在効率の影響を受ける事が知られているので、これらを制御する分子の発見は重要なことと思われる。
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蛋白質核酸酵素(増刊・メンブレントラフィックの奔流〜分子から細胞, そして個体へ〜)共立出版 56(16)
ページ: 2257-2262