エンドサイトーシスは真核細胞の生存・維持など基本的活動に必須なだけではなく、食作用(phagocytosis)による病原微生物の排除や、細胞膜レセプターの取り込みによるシグナルのダウンレギュレーションなど、高次生命機能においても重要な役割を果たしており、その破綻はさまざまな疾患を引き起こすことが知られている。本研究課題では小胞輸送を制御するRabファミリーの中でエンドサイトーシス経路に関与する分子の同定と解析を行っている。平成20年度の成果は以下の通りである。1.線虫偽体腔内のマクロファージ様細胞によるGFP取り込みを可視化するアッセイ系、および腸から偽体腔に分泌されたGFP融合卵黄蛋白質の卵細胞による取り込みを可視化するアッセイ系を用いて、TMP/UV-PCR法により取得したRab変異体とRabRNAiの解析を行った。エンドサイトーシスが顕著に阻害される変異体がいくつか同定され、これらのRab分子はエンドサイトーシス経路に関与すると考えられた。2. Sec1/Munc18ファミリーはRabファミリーと直接あるいは間接的に関与して膜融合過程を制御している。エンドサイトーシス経路で働くSec1/Munc18蛋白質を同定するため、線虫Sec1/Mund8ファミリーの欠失変異体を作成し、1と同様な方法でエンドサイトーシス経路に関与する分子を同定した。これらのRabおよびSec1/Munc18分子がエンドサイトーシス経路のどのステップで働いているのかを明らかにするためさらなる実験を進めている。
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