研究課題
本研究課題ではシンプルな多細胞動物である線虫を用いて、小胞輸送の中で特にエンドサイトーシス経路に着目して研究を進めている。低分子量G蛋白質Rabは膜融合過程を制御する主要な分子であるが、各Rab分子の生理機能はまだよくわかっていない。膜融合過程において、Rab、SNARE、およびSNAREと結合するSec1/Munc18(SM)は、密接に関連して機能していると考えられる。エンドサイトーシス経路に関与するRabとその関連分子を同定するためRab、SNARE(syntaxin)、SM蛋白質をコードする遺伝子群についてノックアウト株を分離した。ノックアウト株およびRNAi法による遺伝子ノックダウン個体を用いて、(1)セロモサイト(体腔細胞)によるエンドサイトーシス(ピノサイトーシス)、(2)卵母細胞による卵黄蛋白質のエンドサイトーシス(受容体を介したエンドサイトーシス)、(3)腸細胞のアピカル側からのエンドサイトーシス、(4)生殖細胞系列におけるアポトーシス細胞の貪食、について解析した。このような体系的な解析によって、エンドサイトーシス経路が顕著に阻害されるRab変異およびSM変異を同定した。さらにエンドサイトーシス表現型を示すSM蛋白質と相互作用するsyntaxinアイソフォーム、SYN-13およびSYN-16を生化学的に同定した。Syntaxin遺伝子の欠失変異体を分離し、逆遺伝学的解析を行ったところsyn-13およびsyn-16単独変異ではエンドサイトーシス異常は見られず、取り込みはほぼ正常に起こっていた。我々はエンドソーム・リソソームに局在するsyntaxinを同時に機能欠損させた場合に重篤なエンドサイトーシス表現型を示すことを見い出しており、これらのsyntaxinアイソフォームがエンドサイトーシス経路においてredundantな機能を持つ可能性を考えている。現在、Rab,SM,SNARE分子の機能的連関について解析を進めている。
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