研究概要 |
<内胚葉性器官形成に異常を示す変異体の原因遺伝子のクローニング> 本年度は、内胚葉性器官形成が異常になる変異体(morendo(mor), legato(leg), decrescendo (dec))に関して、原因遺伝子のクローニング及び原因遺伝子の機能解析を中心に行った。mor変異体は、スクリーニングにより得られた新規な変異体で、leg変異体と同様に内胚葉性器官形成の異常を示す。3種変異体の原因遺伝子を同定するため、変異体(AB系統)を別系統の野生魚(lndia系統)と掛け合わせ、3世代からなるファミリーを作製した。掛け合わせの際の遺伝的組み換えにより、AB, India系統間で多型を示すマイクロサテライトマーカーを用いて原因遺伝子のマッピングを行った。その結果、mor変異体では原因遺伝子を同定することに成功した。mor遺伝子はRNA形成に関与していることが予想されたため、現在mor遺伝子の機能を明らかにするため、様々な生化学的実験を行っている段階である。更にleg, dec変異体では、詳細なマッピングの結果、原因遺伝子が存在するゲノムの範囲を絞り込むことに成功したため、予想される原因遺伝子候補に変異があるかを確認している段階である。 <mor変異体表現型の詳細な観察> mor変異体を、内胚葉性器官が特異的にGFP蛍光を発するトランスジェニックライン(gutGFP)と掛け合わせ、mor変異胚の内胚葉性器官で蛍光蛋白質であるGFPを発現させることを試みた。変異胚を共焦点レーザー顕微鏡により経時的な観察を行い、内胚葉性器官形成に異常が起こり始める発生段階を明らかにすることを試みている段階である。
|