研究概要 |
ヒストン脱メチル化酵素、JHDM2Aが如何にして生体機能に関わっているかを解明する目的で、ヒストン脱メチル化酵素JHDM2の遺伝子改変マウスを作成した。JHDM2はA,B,Cの3種があり、それぞれについてのくアウトマウスを作成し、表現型を調べた。 1. JHDM2A遺伝子改変マウス雄は不妊の表現型を示した。雄の不妊の原因をさらに詳細に調べた結果、減数分裂期のヒストンH3のリジン9のメチル化が亢進していた。この事実によって、雄特異的な減数分裂期の積極的な脱メチル化反応がJHDM2Aによって触媒されることが明らかとなった。現在、半数体であるspermatidを野生型及びJHDM2A欠損マウスから回収し、それぞれの遺伝子発現プロファイルを解析中である。また、JHDM2Aのノックアウトマウスは生後3から4ヶ月で体重増加が見られることから、肥満の症状を呈することが分かった。 2. JHDM2Bのノックアウトマウスは生まれてくるが、体重は野生型の半分から3分の2程度であり、割合もメンデルの法則から予測されるものよりも低かった。 3. JHDM2Cのノックアウトマウスはメンデルの法則どおりに生まれ、今のところ顕著な表現型も観察されていなかった。 4. JHDM2AとBを交配し、AとBのダブルノックアウトを表現型を調べようとしたところ、胎生致死であった。このことは、JHDM2Aと2Bは互いに機能を補っていることを示すものであった。
|