ツメガエル透明化割球を用いて細胞周期の進行をリアルタイムで計測することにより、個々の割球細胞でMBT後にどのように各相が出現し、細胞周期が変更されているかを明らかにした。ゼリー層を除去したツメガエル受精卵を定温(20℃)で発生させ、第3卵割直前に、Ficollのクッション上のSteinberg氏溶液中に置き、定温(20℃)に保ちながら(600g、15min)で遠心した。この条件では細胞膜は壊れずに、透明化細胞質中に核、ミトコンドリアや小胞体などの細胞内小器官が分布し、遠心した胚をCa2+-free培養液中で発生させると細胞質部分にある核が同調して分裂を続け、細胞質分裂が起きるので、ほぼ透明な細胞質のみをもつ単離割球を得た。この透明化割球と単離割球を用いて、MBT期以降における細胞周期の伸長とG1期およびG2期の出現がどのような分子によって制御されているかを明らかにするために、MBT期から初期ノウ胚にかけてタンパク質合成経路の役割を詳細に検討した。これまでに、MBTにおける細胞周期の伸張の開始が、PI3K経路を介した細胞質でのタンパク質合成の低下によって開始されることが明らかとなった。しかし、その後の伸張にはこれとは別のメカニズムによって調節されていることが示唆された。さらに、MBT期に大きく形態が変化するゴルジ体とP-bodyを、これらに局在する分子のEGFP融合タンパク質mRNAを受精直後の卵に注入して融合タンパク質を発現させ、透明化割球を作成することで、細胞内でのこれらの調節因子と各相の長さや出現との関連を詳細に解析することに成功した。さらに、胚性由来のMMPを明らかにし。MBT期後の細胞周期調節にどのように関わっているかの検討を進めた。
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