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2007 年度 実績報告書

出芽ホヤにおける生殖系列と体細胞系列幹細胞の厳密さと柔軟性

研究課題

研究課題/領域番号 19570208
研究機関高知大学

研究代表者

川村 和夫  高知大学, 理学部, 教授 (30136361)

研究分担者 砂長 毅  高知大学, 理学部, 助教 (20448393)
キーワード群体ボヤ / 出芽 / ヘモブラスト / 生殖系列 / 体細胞系列 / 幹細胞
研究概要

出芽ホヤは2種類の間葉系幹細胞をもっている。一つは体細胞系列(S-)ヘモブラストで、多能性上皮や心組織に分化する。他方は生殖系列(G-)ヘモブラストで、生殖細胞とその付属細胞に分化する。これらのヘモブラストが単系統なのか、あるいは独立した2系統なのか、また、後者の場合、S-ヘモブラストとG-ヘモブラストに互換性があるか否かを明らかにすることが本研究の目的である。
第1に、我々が蓄積した群体ボヤ遺伝子情報から、ヘモブラストを特徴付けると思われる遺伝子の発現解析を行った。その結果、S-ヘモブラストはMyc、Piwi、ERK2を発現すること、G-ヘモブラストはVasa、Myc、Piwi、RACK1を発現することが明らかとなった。別途調製したNanosは、精巣で強く発現した。第2に、Vasa、Nanos、Myc、RACK1の機能をRNAi法によって調べた。Vasaをノックダウンすると、生殖腺が全く形成されず、siNanosは精子形成を阻害した。両者ともに、体細胞系列の細胞分化に影響は認められなかった。他方、siMycはS-ヘモブラストから多能性上皮への分化を抑制した。siRACK1は、個体の成長を抑制したが、どの組織を標的としたのかを特定するに至っていない。また、生殖腺への影響はまだ明らかでない。第3に、体細胞系列と生殖系列の分化誘導を試みた。単離した被嚢血管にBMPを顕微注入すると、S-ヘモブラストから多能性上皮への分化が著しく促進された。また、少数ではあるが、Vasa陽性細胞が血管中に出現した。Vasa陽性細胞は、S-ヘモブラストよりも約1.5倍大きかった。
以上の結果は、(1)群体ボヤの間葉系幹細胞がPiwiを発現していること、(2)Vasaによって特徴付けられる生殖系列は、Piwi陽性細胞集団のごく一部であることを示している。すなわち、S-ヘモブラストとG-ヘモブラストは独立した2系統であることが示唆された。20年度は、細胞標識と移植実験によって前記の推論を検証するとともに、両集団の互換性について調べる予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2008 2007 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件) 学会発表 (1件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Multipotent epithelial cells in the process of regeneration and asexual reproduction in colonial tunicates2008

    • 著者名/発表者名
      Kawamura, K.
    • 雑誌名

      Development Growth and Differentiation 50

      ページ: 1-11

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Cell proliferation dynamics of somatic and germline tissues during zooidal life span in the colonial tunicate Botryllus primigenus2008

    • 著者名/発表者名
      Kawamura, K.
    • 雑誌名

      Developmental Dynamics 237(印刷中)

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Involvement of vasa homologue in switching from somatic stem cells to germline cells in the budding tunicate, Polyandrocarlpa misakiensis2007

    • 著者名/発表者名
      Sunanaga, T.
    • 雑誌名

      Developlment Genes and Evolution 217

      ページ: 1-11

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Body muscle cell differentiation from coelomic stem cells in colonial tunicates2007

    • 著者名/発表者名
      Sugino, Y.M.
    • 雑誌名

      Zoological Science 24

      ページ: 542-546

    • 査読あり
  • [学会発表] ミダレキクイタボヤ生殖細胞形成におけるnanosの機能解析2007

    • 著者名/発表者名
      砂長毅・川村和夫
    • 学会等名
      第30回日本分子生物学会年会
    • 発表場所
      神奈川県横浜市
    • 年月日
      2007-12-12
  • [図書] 21世紀の動物科学第4巻ホヤ生殖系列幹細胞のフレキシビリティー2008

    • 著者名/発表者名
      川村 和夫・砂長 毅
    • 総ページ数
      64-94
    • 出版者
      培風館
  • [備考]

    • URL

      http://science.cc.kochi-u.ac.jp/HSM/HSMO13.html

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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