アフリカツメガエル幼生尾部を完全に切断した場合には、尾部を再生するが、背側かち半分まで切り込みを入れた場合には、同じ種類の細胞が増殖・分化するにも関わらず、傷の治癒しかおきない。我々は、尾部再生過程だけで発現するXwnt-5aを、異所的に作用させることにより、治癒を尾部再生へと変化させることに成功した。再生芽の先端部分で強くXwnt-5aの発現が誘導され、そのシグナルにより再生組織中に基部-先端軸方向のパターンが形成され、再生尾部が伸長するものと推定されるが、どのようなメカニズマによりXwnt-5aが発現するのか、またXwnt-5aのシグナルを受けた細胞が実際どめように変化して再生過程が進行ずるのか明らかにしようと研究をおこなった。 切断面では背側と腹側の細胞が一過的に接触することにより直接あるいは間接的にXwnt5aの発現が誘導されると推定される。このとき、腹側で強く発現するBMPのシグナルがその引き金となる可能性が、BMPシグナ所特異的な抗SMAD抗体を用いた解析から示唆された。また、再生芽の最も先端部に位置する多層の表皮でxHES1が特異的に発現上昇することがわかり、この遺伝子の発現が基部-先端パターン形成において重要な役割を持つと示唆された。
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