研究概要 |
レチノイン酸関連遺伝子の機能解析 Hox1遺伝子の表皮エンハンサー中にレチノイン酸応答エレメントを同定した。その配列にレチノイン酸受容体(RAR)が結合すること,その配列が表皮における正常な発現に必要であることを実験的に証明し,論文として発表した。また,RARやレチノイン酸合成酵素(Raldh2)の遺伝子機能を阻害すると,Hox1の神経索と表皮における発現がなくなることを示した。 Hox1遺伝子の突然変異体において,出水孔原基の消失が発見された。同様の表現型が,Raldb2の機能阻害によっても得られた。また,Raldb2の機能阻害実験では予定心臓細胞の移動が異常になった。ホヤ胚においてはレチノイン酸もHox遺伝子も重要な役割を担っていないと,多くの人が考えてきたが,実際にはさまざまな器官の形成にレチノイン酸が関与していることがわかった。これらの結果は,笹倉靖徳博士(筑波大)やBrad Davidson博士(アリゾナ大)らと共同で今後も研究を進め,論文を作成する予定である。 Nodal標的遺伝子(特に細胞外マトリックス構成糖タンパク質等)の発現・機能解析 Nodalの標的遺伝子をマイクロアレイで同定した結果を論文として発表した。標的遺伝子の中で,細胞外マトリックス因子や細胞接着分子の一部が神経索や脊索で発現していた。これらの因子の機能解析は現在も続行中である。これに加えて,プロテオグリカンの糖鎖を修飾する硫酸化酵素をゲノム中から網羅的に同定し,その発現解析を行った。
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