研究課題/領域番号 |
19570222
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
今井 清博 法政大学, 生命科学部, 教授 (50028528)
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研究分担者 |
常重 アントニオ 法政大学, 生命科学部, 教授 (30409346)
長井 雅子 法政大学, 工学部, 兼任講師 (60019578)
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キーワード | ヘム蛋白質 / 分子進化 / 分子設計 / 祖先型 / 遺伝子組換え |
研究概要 |
平成19年度に行った2つの祖先型Mb(哺乳類祖先型n80-Mbと魚類祖先型n182-Mb)の現存近縁種としてのキタアメリカオポッサムMb(Nao-Mb)とゼブラフィッシュMb(Zbf-Mb)のCDスペクトル、熱変性、酸素結合特性、自動酸化速度などを測定し、祖先型Mbのそれらと比較することによって、以下の結果を得た。(1)熱変性をCDスペクトル変化で追跡したところ、現存種Mbに比べて祖先型Mbの方が安定である。(2)近縁現存種のMbはBohr効果を示さず、酸素親和性は祖先型Mbより低く、体温環境の違いと酸素親和性の温度依存性との間には相関がない。(3)自動酸化速度は、現存種恥に比べて祖先型Mbの方が遅いが、それの温度依存性には有意な差はみられない。(4)哺乳類と魚類においては、蛋白安定性や自動酸化性を犠牲にし、酸素結合機能の環境適応を優先して進化したと考えられる。 祖先型ミオグロビンからの発展として、脊椎動物の祖先型ヘモグロビンのアミノ酸配列を設計するために、アミノ酸配列データベースを利用して、現存する各生物種(ナメクジウオ、ホヤ、ヌタウナギ、ヤツメウナギ、シーラカンス、肺魚、軟骨魚類、硬骨魚類、両性類、爬虫類)の計1490個のグロビン配列のデータを収集、分類、解析し、それぞれ近隣結合法(Phylipプログラム)、および、最尤法(PhyMLプログラム)による分子系統樹を作成した。 現在、この初期系統樹を基に、PAMLプログラムを用いて、脊椎動物の祖先生物が有していただろうと推測される祖先型ヘモグロビンのα鎖、β鎖のアミノ酸配列、および、nodeの推定を行い、これらの大腸菌での発現・合成実験の準備を進めている。
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