研究課題/領域番号 |
19570232
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
新岡 正 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 准教授 (20123953)
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研究分担者 |
田中 豪一 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (10167497)
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キーワード | 生理的多型 / 生理学 / 生理人類学 / 脳機能評価 / 生物・生体工学 / 脳酸素動態 / 標準化指標 / 近赤外分光法 |
研究概要 |
本研究では、ヒトの高次脳機能を生理的多型性の面から解明するための基礎を築くために、多チャンネル化が容易な連続光方式近赤外分光法を用いた脳酸素動態計測において、チャンネル間、実験間および被験者間の比較を可能とする標準化指標を見出すことを目的としている。このため、本年度においては、まず、連続光方式との比較のために、脳酸素動態の絶対値計測が可能な時間分解分光法を用いて18名の非喫煙者を対象として、認知課題遂行中の脳内酸素化ヘモグロビン濃度、脱酸素化ヘモグロビン濃度、および総ヘモグロビン濃度変化を計測した。その結果、酸素化ヘモグロビン濃度および脱酸素化ヘモグロビン濃度の増減における個体差は、連続光方式を用いた我々の先行研究で得られた結果と全く同様に観察されることが確認された。この結果、連続光方式近赤外分光法を用いた計測において、脳酸素動態数値計算モデルを構築すること、および標準化指標を見いだすことの妥当性を確立できたと考えられた。次いで、数値計算モデルの構築のために、低濃度酸素吸入実験における脳内酸素化ヘモグロビン濃度、脱酸素化ヘモグロビン濃度、および総ヘモグロビン濃度変化のデータに基づいて、安定的指標を見いだそうと試みた。この結果、安定的指標としては、酸素化ヘモグロビン濃度を脱酸素化ヘモグロビン濃度で除した変数が有用であることが示唆された。また、脳酸素動態の解析において、高次脳機能の賦活化および高精度解析が必要となる。このため、我々が開発・使用してきた認知課題(Stroop色-語課題)反応提示・計測システムを大幅に改良することを試みた。その結果、反応時間計測の精度を一桁向上させ1ミリ秒とすることができ、高次脳機能を高精度で解析する手段を開発することができた。
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