プロジェクトはほぼ目標を達成することが出来た。H20年度の研究実施計画に照らし、研究成果をまとめる。 1.^<25>Mg-NMR 昨年度はっきりさせることが出来なかった^<25>Mg-NMRシグナルについて、予定通り、日本最大の磁場を有する固体NMR分光装置で測定を行い、S/Nおよび積算時間の大幅な改善を達成した。四極子相互作用の大きなシグナルと小さなシグナルが1種類ずつ存在することを世界で初めて見出した。これと同時に^<13>C-NMR分光で明らかになった情報を基にして、クロロゾーム内のバクテリオクロロフィルcの会合構造の詳細を決定することに成功した[Kakitani et al. Biochemistry 48 (2009) 74]。昨年度の予想通り、二量体累積構造であることが明らかとなった。 2.電子吸収・CD分光 ラメラ構造を否定する為にシミュレーションを進めてきたのだが、螺旋構造であっても、ラメラ構造であっても、層状構造の存在が本質であることが判った。層状構造の中でQ_y遷移双極子の重なりが小さいこととあらゆる方向を向きながら規則正しい配列をしていることが重要である。全体構造(マクロな構造)についてはアプローチを変えて研究の方向性を見出す必要があると考えられる。 3.粉末X線回折 昨年度取得したデータをシミュレーションによって詳細な解析を行った。解析結果をフィードバックすることによって、クロロゾームの会合構造が二次元結晶だと仮定した場合の格子ベクトルの大きさとその成す角を決定することが出来た。 また上記に加え、クロロゾームに含まれるカロテノイドに関する研究も進めることが出来た。
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