研究課題/領域番号 |
19580010
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
中村 貞二 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (70155844)
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研究分担者 |
後藤 雄佐 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (80122919)
中嶋 孝幸 東北大学, 大学院・農学研究科, 助手 (80241553)
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キーワード | イネ / 穎果 / 登熟 / 品質 / 弱勢 / source/sink比 / sink capacity / アブシジン酸 |
研究概要 |
遮光(低source/sink比)下でも、弱勢な穎果の初期成長が遅延しにくく(登熟優先度調節が弱く)、穂全体の登熟も低下しにくいべこあおば(sink capacity大)、92133(中国江蘇省)、奥羽飼403号(ほとんどの穎果が1次枝梗着生)と、遮光下で弱勢な穎果の初期成長が遅延し易く(登熟優先度調節が強く)、登熟も低下し易い夢あおば(sink capacity大)、ササニシキを用い、穎果の初期成長期におけるABA(アブシジン酸)と糖を前年度に引き続き分析したところ、同じ結果が得られた。初期成長期の糖濃度は、全品種において初期成長が速い強勢な穎果よりも遅い弱勢な穎果で高かったが、両穎果において遮光の影響や品種間差はなかった。遮光により強勢な穎果のABA濃度は全品種で変化しなかったが、ササニシキ、夢あおば、べこあおばの弱勢な穎果では低下し、その初期成長も遅延した。一方、92133と奥羽飼403号の弱勢な穎果では、遮光によりABA濃度は低下せず、初期成長は遅延しなかった。また、べこあおばではABAの低下に伴う初期成長の遅延程度はササニシキ、夢あおばと比べ小さかった。したがって、sink capacityが高いイネの登熟には、92133や奥羽飼403号のようにの弱勢な穎果の初期成長期における内生ABAが低下しにくいために、またはべこあおばのようにABAが低下しても感受性が低いために初期成長が遅延しにくく登熟も低下しない特性が重要である。また、ササニシキを用いた実験では、主に初期成長期における低source/sink比により、弱勢な穎果の最終粒重が低下し、白未熟粒発生が増加したことから、穎果の初期成長の遅延は、後に起こるデンプン合成・蓄積の能力低下を通じて穎果の登熟・品質を低下させることが示され、穎果の初期成長の促進要因であるABAの重要性がさらに強調される結果となった。
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