研究概要 |
70μMアブシジン酸を含む培地で生き残ったミヤコグサ変異系統のうち,根粒菌接種後の根粒数が多く,窒素固定活性が高いものをenf1と命名した.この変異体はミヤログサMiyakoima MG20と比較して内生ABA濃度が低いことが明らかとなり,それが原因で根粒内での一酸化窒素の濃度が低く保たれていることも明らかになった,一酸化窒素は窒素固定酵素の活性を阻害することが分かっているため,根粒内での低い一酸化窒素濃度が窒素固定活性を高めている理由であることが示唆された.また,原因遺伝子の同定については,変異体とミヤコグサGifu B129とを交配したF2世代を用いてポジショナルクローニングを継続しておこなっている 次に同様の方法論でダイズの変異体を選抜し,今年度はそれらについて人工気象器を用いた根粒着生試験と,圃場での収量試験をおこなった.その結果,変異体のバックグラウンド品種のBayと比較して有意に窒素固定活性が高いものが8系統存在した.それらの圃場試験では,8系統すべてが高い収量を示したというわけではなかったが, no.32やno.4の系統では,種子数や種子重に関して有意にBayよりも高い値を示していた.今後は,それらについて人工気象器での調査及び圃場試験を反復して,しかも多くの個体を処理して精度の高いデータを収集しなければならない.
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