研究概要 |
1)白山の南竜ヶ馬場において,19年度に生育が確認されたオオバコとハクサンオオバコの自然交雑によって生じた雑種(雑種オオバコ)について,その分布を調査した。雑種オオバコは南竜ヶ馬場の野営場のみに見られたが,種子繁殖によって分布範囲を広げる可能性がある。また,雑種オオバコの種子繁殖の程度や雑種形成頻度を調査するため,現地で結実した種子を個体別に採取した。21年度に種子生産数や交雑率を調査する。 2)白山の南竜ヶ馬場と室堂において,19年度に侵入が確認された外来タンポポ(セイヨウタンポポとアカミタンポポ)の分布を調査した。室堂では,室堂センター西側の便所の周囲で多数の外来タンポポが確認された。これらのうち,結実個体の得られたものはすべてアカミタンポポであった。南竜ヶ馬場では,休憩舎と野営場のケビン2Bの前でセイヨウタンポポが確認された。外来タンポポはミヤマタンポポの生育地を奪う可能性があると考えられた。 3)19年度に引き続き,白山の高度の異なる数箇所で採取したスズメノカタビラについて侵入高度別の生活史を比較した。高地集団は低地集団よりも低温での発芽が良好で,25℃の高温では生育が抑制されることが明らかになり,高山帯の厳しい環境への適応様式を持つ集団が定着していることが示唆された。さらに分布調査の結果から,高地集団と低地集団の季節発生消長が異なることが推測された。
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