研究概要 |
本研究の目的は,ペチュニアを主材料として,赤色光と青色光に対する作物の生理反応機構の解明を行う手がかりを得ることにある. 昨年度の本研究では,赤色光下でも外生サイトカイニンを与えた場合にペチュニアの開花を誘導することに成功した.また,ペチュニアのFT遺伝子クローニングを実施し,その候補遺伝子であるPhFT3の全長解読に成功した.本年度は,この遺伝子について,その機能を解明するためにアラビドプシスの野生型およびFT欠損変異体への導入をみ,後代検定を実施することによってその機能解析を行った.その結果,PhFT3について,花成を強く誘導する機能があることが判明した.また,ペチュニアに対する植物ホルモンの影響について,内生量を確認したところ,ペチュニアのジベレリン濃度が,青色光下で特異的に上昇した一方,サイトカイニンについては,変化が観察されなかったことが示され,花成誘導に関してサイトカイニンの感受性に光質が影響している可能性が示唆された.これらの成果については,国際シンポジウム「光と園芸」において発表した. トマトについては,青色ならびに赤色LED下において栽培試験を行い,花成誘導への光質の影響を再評価した.その結果,ペチュニアとは逆に青色光下において花成が抑制される一方,赤色光下において,花成が促進されることが判明した. 現在,ペチュニアの花成誘導と光質の影響に関する論文を投稿中である.
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