研究概要 |
1、キュウリの果実における4種類のホルモン{アブシジン酸(ABA)・オーキシン(IAA)・ジベレリン類(GAs)・サイトカイニン類(CKs)}の高い分離能のHPLCによる植物ホルモンの精製法を確立し、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS)によるキュウリ果実の内生ホルモンの定量法を確立した。 2、キュウリ果実を細かく組織に分けて、アポプラスト(AP)液とシンプラスト(SP)液を遠心法で採取した。それらの画分に安定同位体標識試薬を内部標準として加えて、確立した分析法で、植物ホルモンの局在性および消長を解析した。 3、たんぱく質の免疫組織化学染色法(免疫局在法)を用いて植物ホルモンのイメージング(可視化)を行なった。果実の成長とホルモンの関係を解明するため,キュウリの子房内の植物ホルモンの可視化を免疫局在法を用いて行った.子房内の染色レベルは,IAA>ABA=ZR=iPRであった。胚珠、維管束周辺および果皮が他の部位に比べて強く染色された。胚珠は発達段階で染色部位が変化し、発達初期では細胞壁部が細胞内よりも高いレベルで染色され、発達が進むにつれ細胞壁部は染色されなかった。したがって、発達段階で合成部位の変化が起こると示唆された。維管束は師部組織が染色された。表皮では、表皮組織との境が染色された。他の細胞では、細胞壁に弱い染色が示された。したがって,これらの染色により染色された部位が、合成、貯蔵および輸送器官であると示唆された。
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