研究概要 |
In vitroで継代培養したキク`神馬'のFT形質転換体を使用し、栄養成長を示す(V)シュートと,花芽分化した(R)シュートを一節ごとに切り分け,部位を明確にして培養した.さらにVシュートの節から発生した栄養成長を示した(V-V)シュート,花芽分化を示した(V-R)シュート,Rのシュートの節から発生した栄養成長を示した(R-V)シュート,花芽分化を示した(R-R)シュートとし,同様の実験を行なった.培養60日後において、Vシュートは「腋芽発生なし」の割合が低く,上位節ほど栄養腋芽の割合が高く下位節ほど「花芽腋芽」の割合が高い傾向が認められた.一方,Rのシュートでは上位節ほど「腋芽発生なし」の割合が高く,Vのシュートと同様で,下位節ほど「花芽腋芽」の割合が高い傾向が認められた.継代したV,Rいずれのシュートでも同様の傾向が認められた.発生した腋芽由来の若いシュートから抽出したtotal RNAを用いてreal time PCRを行い,FT導入遺伝子とその下流で機能する花芽形成関連遺伝子CDM111(AP1ホモログ)の遺伝子発現を調査した.V,Rシュートの節から発生したシュートにおいて,FT導入遣伝子の発現が確認されたが,個体間差が大きく,FT導入遺伝子の発現とV,Rシュートの間に明らかな関係は認められなかった.同様にCDM111についても個体間差が大きく,FT導入遺伝子発現との間に相関は認められなかった.これらの原因として幼植物体の段階ではVまたはRの出現が特定できないため,発現量と花成の関係が不明瞭になったと考えられた.
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