本年度の研究結果は、ブドウ果実の成熟過程のある特定の時期、ベレゾーン期に特異的に発現する遺伝子群をサブトラクトライブラリーよりスクリーニングした.これにより単離したキシログルカンエンドトランスグリコシダーゼ(VXET1)とエクスパンシン(Vlexb1)はベレゾーン期特異的に発現することを明らかにした.これらは、ヘミセルロースの架橋構造であるキシログルカンの分解に深く関与していることから、ベレゾーン期の急速な果実軟化はキシログルカンの分解によるもめと考えられた.また、果実内の組織部位別の糖含量の違いを調査したととろ、ベレゾーン期に外壁と内壁で糖含量に差が見られ、組織構遭の変化も観察された. さらに、これらの遺伝子の全鎖長をスクリーニングし、組換えタンパクの産生を試みている.XETの発現のため4種の大腸菌系発現ベクターを構築し、誘導を行ったが組換えタンパクの産生は見られなかった.また、シャペロンプラスミドを供発現したり、低温による誘導を行ってみたが、現在のところ組換えタンパクの産生には至っていない.平成20年度は酵母系の発現ベクターを用いて組換えタンパクの産生を試みる.
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