研究概要 |
本研究では、イチゴ品種に共通して存在し、イチゴの香りのベースとなる香気成分(共通香気成分)と、品種の香りを特徴付ける香気成分(特徴香気成分)を決定し、これら香気成分の標準品を用いて各イチゴ品種の香りを再現・検証することにより、各イチゴ品種の香りの成り立ちを明確にするため、「PorapakQカラム抽出・濃縮法によるイチゴ果実揮発性成分の分析」、「Aroma Extract Dilution Analysis(AEDA)・Aroma Extract Dilution-Strip Analysis(AED-SA)による香気成分の評価」並びに「標準品を用いたイチゴ香気の再現と検証」を行った。供試23品種から、主要品種や特徴香気を有する7品種を選び、実験を行なった。全7品種から揮発性成分を160成分同定し、香気成分を98成分感知した。98成分中、品種共通香気成分であり、香りのベースとなる香気成分(重要香気成分)は、綿菓子様の甘い香りを有するFraneol、カンキツの香りを有するLinalool、草様やカメムシ様など青臭いにおいを有するcis-2-nonenal、trans,cis-2,6-nonadienal、モモやココナッツミルクなどのラクトン系香気を有するgamma-decalactine、gamma-dodecalactine、汗のにおいを有する2-methyl butanoic acid、金属・ガス臭のにおいを有する香気成分(未同定)、並びに汗のにおいを有する香気成分(未同定)、の9成分を確定した。また、重要な品種特徴香気成分は23成分を確定した。 以上の実験結果を基に標準品を用いて香りを再現し、抽出液と比較・検証した結果、とよのか、久留米IH1号及びペチカは香りの印象や類似度が高く、再現が可能であることが判明した。
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