研究課題/領域番号 |
19580048
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
近藤 秀樹 岡山大学, 資源生物科学研究所, 助教 (40263628)
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研究分担者 |
鈴木 信弘 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (70206514)
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キーワード | ランえそ斑紋ウイルス / ラブドウイルス / ゲノム輸送 / リボヌクレオタンパク質 / ヌクレオキャプシドタンパク質 / 核移行 / RNA結合 / マイナス鎖RNAウイルス |
研究概要 |
マイナス(一)鎖RNAウイルスのゲノム輸送を理解するため、本年度はOFVの細胞間移行と長距離移行について主に研究を進めた。(1)ORF3は植物ラブドウイルスゲノムの細胞間移行蛋白質と同じ位置にコードされていることから、細胞間移行に関わる蛋白質であると推測される。そこで、大腸菌で発現したORF3(38K)の翻訳産物に対す抗体を作製し、ウイルス感染組織からの検出を可能とした。この蛋白質はウイルス粒子に含まれず、非構造蛋白質であることが判明した。ORF3蛋白質をGFPとタグして調べたところ、細胞膜近傍にドット上に局在することが判明した。次にpGR106ベクターを改変して細胞間移行ができない変異型PVX-GFP(△P25)を作製し、この変異ウイルスのN.benthamianaでの細胞間移行をORF3蛋白質が補完できるかを検討した。その結果変異型PVXのGFP蛍光は単一細胞に止まり、この実験系ではORF3が細胞間移行蛋自質であることは証明できなかった。(2)OFVはN.benthamianaに感染し、全身へと移行した。地上部では、ウイルスは茎頂部の新たな展開葉には検出されず、2-3葉下位の展開葉に検出された。OFVの病徴は主に葉脈部の黄化が認められた。プレスプロット法で調べるとウイルスのシグナルは発病部(葉脈に沿って)に検出された。一方、地下部では根全体にウイルスが蓄積していた。次に、OFV感染個体にPVYを接種し、混合感染によるOFVの影響を調べた。その結果、PVYとの混合感染によりOFVは茎頂部の展開葉にまでウイルスが移行し、葉全体にウイルスの蓄積が確認された。一方、地下部では混合感染でもウイルスの蓄積量に大きな変化は認められなかった。この結果から、N.benthamianaの茎頂部では宿主のRNAサイレンシングが葉肉細胞へのウイルスの移行を抑制しているのではないかと推測した。これらの成果は、OFVのゲノム移行輸送機構を理解する上で基礎的な知見となると期待される。
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