研究概要 |
本研究は基礎研究分野と応用研究分野の融合を図り、モデル植物から農作物への技術移管のモデルケースを提案することを目的とする。 1 病害ストレス時の遺伝子発現データの集積とデータベースの構築・・・ハクサイ遺伝子発現ライブラリーからシロイヌナズナに対応するオーソログ候補遺伝子を多数加えたマイクロアレイを作製し、遺伝子発現解析を行った。ハクサイに、病原菌接種、シグナル物質および植物ホルモン(SA、JA、ET、アブジジン酸)、活性酸素誘導剤(パラコート、ローズベンガル)処理について、マイクロアレイ解析を行い、データを蓄積した。 2 ハクサイとシロイヌナズナ間の発現遺伝子の比較ゲノムおよび機能ゲノム解析・・・これまでに構築したシロイヌナズナ・アレイデータベースと本研究で得られたハクサイ・アレイデータを比較解析した。特に、ハクサイの病害防御応答に関わるマーカー遺伝子を取得することを目的として、ハクサイとシロイヌナズナの比較ゲノム解析およびマイクロアレイデータにより遺伝子探索を行った。シロイヌナズナにおいて病害ストレスにより発現する防御応答遺伝子AtPR-1, AtPR-4に対応するハクサイ遺伝子BrPR-1, BrPR-4を同定した。AtPR-1とBrPR-1はストレス処理により同様の発現プロファイルを示したが、AtPR-4とBrPR-4は異なる発現プロファイルを示した。今後、ハクサイとシロイヌナズナ間のカウンターパートまたはオーソログ候補遺伝子の発現について比較解析を行うことで、両者の共通性と特異性を解析することができる。 3 ハクサイ遺伝子資源の確保・・・ハクサイ遺伝子発現ライブラリーから得たクローンの5'末端側の塩基配列を決定し、2000遺伝子を同定した。
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