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2007 年度 実績報告書

殺虫剤抵抗性昆虫におけるシトクロムP450の過剰発現機構に関する遺伝学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19580062
研究機関国立感染症研究所

研究代表者

冨田 隆史  国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 室長 (20180169)

研究分担者 葛西 真治  国立感染症研究所, 昆虫医科学部, 主任研究官 (80332360)
キーワード殺虫剤抵抗性 / シトクロムP450モノオキゲナーゼ / DNA増幅 / 遺伝子過剰発現 / 殺虫剤解毒機構 / ネッタイイエカ / アカイエカ種群蚊
研究概要

シトクロムP450モノオキゲナーゼ(P450)は,昆虫生理活性物質と外来性毒物質の代謝を担う酵素である。その過剰発現は,多様な殺虫剤化合物に対する解毒活性亢進をもたらし,殺虫剤抵抗性の要因となっている。しかし,各P450分子種の各種殺虫剤に関する触媒作用とその過剰発現をもたらす遺伝的変異については,はほとんど未解明である。ネッタイシマカJPP系統の終齢幼虫は,作用点の低感受性とP450の活性亢進が主要因となり,ピレスロイド系殺虫剤であるペルメトリンに関し,感受性系統(OGS)の蚊に対して10^3レベルの抵抗性を示すが,成虫期には抵抗性比が10^1レベルに低下した。この低下はP450解毒機構の成虫期における消失によるものであることを,P450の阻害剤を用いた共力試験で明らかにした。JPP系統におけるCYP9M10とCYP4H34の二つのP450遺伝子の終齢幼虫期における転写量は,OGS蚊に比べ,それぞれ,約300倍と17倍あることが示されていたが,いずれの遺伝子もJPP系統の蛹期と成虫期では発現していないことを定量PCRで示し,両遺伝子は発育ステージに依存して発現調節を受けることを明らかにした。両系統を用いた戻し交配実験を行い,両系統,そのF_1,およびF_1の戻し交配子孫を用い,CYP9M10の転写レベル,遺伝子量,および両系統で異なるP450コード配列のハプロタイプに関する遺伝子型を調べ,次のことを明らかにした。i)CYP9M10の過剰発現は,約6倍の遺伝子増幅と約50倍と推定される転写活性の増大という二つの要因の相乗効果でもたらされている。ii)増幅したP450遺伝子は互いに強く連鎖している。iii)転写活性の増大に関する突然変異は,半優性の効果およびシス作動性を示す。これらの結果から,JPP蚊でCYP9M10遺伝子の転写活性が増大する要因は,転写調節領域に生じた突然変異によるものと推定された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Cytochrome P450 monooxygenase-mediated permethrin resistance confers limited and larval specific cross-resistance in the southern house mosquito,Culex pipiens quinquefasciatus2007

    • 著者名/発表者名
      Hardstone MC, Leichter C, Harrington LC, Kasai S, Tomita T, Scott JG
    • 雑誌名

      Pesticide Biochemistry and Physiology 89

      ページ: 184-191

    • 査読あり
  • [学会発表] アカイエカ種群蚊の殺虫剤抵抗性及び亜種判別に関わる遺伝子型の個体別決定法2007

    • 著者名/発表者名
      駒形修, (他6名)
    • 学会等名
      第59回日本衛生動物学会大会
    • 発表場所
      大阪市立大学
    • 年月日
      2007-04-03
  • [学会発表] 衛生害虫の殺虫剤抵抗性獲得の分子機構解明に関する研究2007

    • 著者名/発表者名
      冨田 隆史
    • 学会等名
      第59回日本衛生動物学会大会
    • 発表場所
      大阪市立大学
    • 年月日
      2007-04-03

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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