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2007 年度 実績報告書

北方タイガ生態系における長期炭素固定に貢献する有機物の形態

研究課題

研究課題/領域番号 19580070
研究機関日本大学

研究代表者

川東 正幸  日本大学, 生物資源科学部, 講師 (60297794)

研究分担者 隅田 裕明  日本大学, 生物資源科学部, 准教授 (70147669)
キーワードタイガ林 / 溶存有機物 / 炭素貯留 / 0層 / 永久凍土 / 活動層 / シベリア / 森林火災
研究概要

北方のツンドラータイガ生態系は巨大な炭素リザーバーとして存在しており、土壌での蓄積が大きい。土壌炭素の最も重要な給源は、低地温を反映して厚く堆積したO層であり、O層から供給される種々の形態の有機態炭素が土壌と相互作用することによって土壌への長期炭素固定を可能にしていると考えられる。同生態系のO層の特性は、永久凍土分布の影響を受けると同時に土壌炭素の分布・動態を支配していると考えられる。そこで、本研究では異なる永久凍土分布がみられるシベリアにおいて、O層を東西のトランセクトに沿って採取し、それらの特性について炭素固定の側面から検討することを目的とした。
研究対象地は不連続永久凍土が分布するIgarka、連続永久凍土が分布するTuraおよび東に位置するYakutskとした。植生は西のIgarkaがトウヒの占有割合が高いブラックタイガであり、TuraとYakutskはカラマツを主体とするライトタイガである。O層を構成するコケ類はIgarkaでは多様であったのに対し、TuraおよびYakutskでは貧相であった。O層の全炭素および全窒素量は被覆植生によって異なり、地衣類が主体のO層では窒素含量が極端に低く、高いC/N比を示した。しかし、分解が進行したOa層では構成植生および地点間の相違は明瞭ではなかった。一方、O層から水浸出で得られる水溶性有機態炭素は地点間で異なり、連続永久凍土を有するカラマツ林下のO層で高く、その割合において疎水性の構成炭素種が多かった。このことは、O層から供給される溶存有機物量が多く、且つ鉱質土壌に蓄積しやすい可能性を示唆しており、実際の鉱質土壌中の炭素量の分布に一致するものと考えられた。一方、O層の腐植組成では、抽出腐植炭素量はTuraで最も低く、Yakutskで高かった。同時に腐植酸割合がTuraで高く、Yakutskで低かった。これはO層の乾燥に伴う、分解程度を反映したものと考えられた。以上、O層が有する腐植や水溶性有機物は異なる永久凍土分布を反映していると考えられた。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2008 2007

すべて 雑誌論文 (4件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] カーボンシンクがカーボンソースに変わるとき〜豹変する土壌生態系〜2008

    • 著者名/発表者名
      川東 正幸
    • 雑誌名

      化学と生物 46(印刷中)

  • [雑誌論文] 腐植物質研究の基礎講座:その2.腐植物質の特性を見誤らないために2008

    • 著者名/発表者名
      川東 正幸
    • 雑誌名

      Humic Substaces Research 4

      ページ: 1-8

  • [雑誌論文] 土壌環境指標としての土壌有機物の組成と構造特性2007

    • 著者名/発表者名
      川東 正幸
    • 雑誌名

      日本土壌肥料学会誌 78

      ページ: 443-444

  • [雑誌論文] ロシアでの奇妙な体験と偉大なるシベリアの自然2007

    • 著者名/発表者名
      川東 正幸
    • 雑誌名

      食品と容器 48

      ページ: 52-58

  • [学会発表] 土壌溶液/土壌界面における腐植物質の挙動2007

    • 著者名/発表者名
      川東 正幸
    • 学会等名
      目本腐植物質学会
    • 発表場所
      弘前
    • 年月日
      20071100
  • [学会発表] PROPERTIES OF WATER SOLUBLE ORGANIC MATTER(WSOM)FROM BURNT ORGANIC HORIZONS ON PERMAFROST AFFECTED SOILS IN SIBERIA2007

    • 著者名/発表者名
      Kawahigashi M
    • 学会等名
      Soil Organic Matter
    • 発表場所
      Adelaide
    • 年月日
      20070900
  • [図書] Global warming and dissolved organic carbon release in permafrost soils2008

    • 著者名/発表者名
      Prokushkin A, Kawahigashi M
    • 出版者
      Springer Verlarg(In press)
  • [図書] 腐植物質分析ハンドブック2008

    • 著者名/発表者名
      川東 正幸
    • 総ページ数
      89-101
    • 出版者
      腐植物質の界面活性、腐植物質の粘度

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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