研究概要 |
L-threo-3-hydroxyaspartate dehydratase(L-THADH)(EC4. 3. 1. 16)はL-threo-3-hydroxyaspartate(L-THA)からアンモニアを脱離させてオキサロ酢酸を生成する反応を触媒する. Pseudomonas sp. T62から精製した本酵素のN末端アミノ酸配列を解析した結果, S. cerevisiaeのセリンラセマーゼホモログと相同性を示した. S. cerevisiaeのセリンラセマーゼホモログは, すでに大腸菌での発現系が構築されてある程度の機能解析が行われているが, Pseudomonas sp. T62由来酵素の遺伝子はまだクローニングされていない. そこで本研究ではPseudomonas sp. T62のL-THADHをコードしている遺伝子をクローニングし, 本酵素の諸性質を解明するために大腸菌での発現系を構築した. 本酵素の既知の部分アミノ酸配列を元にDegenerated PCRを行った. その結果得られた内部配列を元にInverse PCRを行い, 本酵素をコードしている全長960bpの遺伝子配列を取得した. 本酵素のアミノ酸配列を解析した結果, S. cerevisiaeのセリンラセマーゼホモログ, ラットやヒトのセリンラセマーゼ, アカガイのアスパラギン酸ラセマーゼ, E. coliのスレオニンデヒドラターゼなどと相同性を示し, セリン/スレオニンデヒドラターゼファミリーに属していることが判明した。本酵素遺伝子配列をHis-tagが付加される発現ベクターpQE-30に組み込んで大腸菌で発現させた結果, M9-カザミノ酸培地で良好な発現がみられた. 得られた組換え粗酵素溶液をアフィニティークロマトグラフィーカラムで精製したところ, ワンステップで電気泳動的に均一な精製酵素を得た.
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