研究概要 |
本研究課題は、全ゲノム配列が解読されたモデル光合成生物シアノバクテリア(藍藻)の一種Synechocystis sp.PCC6803株の転写装置(RNA polymerase, RNAP)におけるシグマ因子(σfactor)SigFに着目し、これまで光合成生物において全く知られていなかったグループ3型シグマ因子のプロモーター認識能について解析することを目的とした。 最終年度にあたる平成21年度は、申請書の計画に基づき実証して得られた成果をまとめ、総説の一部で公表した。6803株においては、9種類ある全シグマ因子を3つのグループに分類し、機能を体系的に整理した。本研究で着目したグループ3型シグマ因子の1つSigFのプロモーターのコア配列[-32(TAGCC)/-12(GGTAA)]を初めて明らかにし、SigFの機能が細胞表層における繊毛形成や運動性ならびに光走性遺伝子のプロモーター認識に普遍的に関わっている可能性を示唆した。更に、SigFの厳密なプロモーター認識能を利用した藻発現ベクター構築や自然界から新規な藍藻の分離を試みたり、SigFタイプのシグマ因子遺伝子の多様性について発展的な研究を展開するに至った。 このように3年の研究期間で、総説を含む学術論文2編、学会等発表5回を数え、充分な成果を挙げることができた。また、茨城大学学術ホームページにおいても、研究成果について公開している。
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