研究概要 |
枯草菌の機能未知転写因子をコードする遺伝子の変異株の生育を網羅的に調べた結果、本研究室で見出されたYofAが細胞分裂を制御する主要な転写調節因子であることが示唆された。YofAは細胞分裂に関与するftsWの転写調節を正に調節する。このftsWの調簾領城を欠失解析により調べたところ、YofAはftsWの上流105〜135ntの領域に作用することが示された。さらに興味深いことにftsWの転写量を最小培地で調べたところ、この培地に2%となるようにグルコースを加えると、野生株のftsWの転写量は、yofA変異株の2倍に上昇した。一方、グルコース無添加の最小培地では、野生株とyofA変異株のftsWの転写量には差が認められなかった。この結果は、YofAが細胞内のエネルギー源の状態を感知している重要な因子であることを示している。現在、YofAを精製し、リガントとなっている低分子を探索している。一方、エネルギー産生系の入り口にあたるNADH脱水素酵素をコードするndh,yumB,yutJの発現を調べ、発現量の違いからndhが主要な酵素をコードしていることを明らかにした。yumBとyutJの発現量は非常に低く、各種ストレス下においての発現も認められていない。これらYumB,とYutJの機能については、現在も引き続き解析を行なっている。また、枯草菌の細胞分化である胞子形成期のndh,yumB,yutJの発現量は著しく低く、胞子形成期のNADH脱水素酵素は栄養増殖期よりも要求性が低いと考えられた。
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