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1)麹菌Hap複合体サブユニット変異遺伝子の優性阻害効果の解析を行った。
麹菌Hap複合体の変異サブユニット遺伝子(hapB-1M)がDominant negativeの表現型を示す機構について解析を行った。DNA結合、核への局在化、サブユニットアセンブリの観点から以下の解析を行い、証明した。
i)DNA結合活性を調べたところ、DNA結合活性が消失していることが判明した。
ii)核への局在化能を調べたところ、核への局在化は正常であった。
iii)サブユニットアセンブリ能を調べたところ、アセンブリ能も正常であった。
ゆえに、本変異サブユニットはDNA結合能を有さないが、核への局在化、サブユニットアセンブリは正常であるため、野生型のサブユニットと入れ替わり、DNA結合できない複合体を形成し、Hap複合体の機能を阻害することが明らかとなった。
2)hapB-1M導入により、麹菌Hap複合体機能抑制株を取得することができた。
i)麹菌(野生株)へhapB-1Mを導入した。
ii)Hap複合体の機能抑制が起こることを確認し、アレイ解析に適した株を得ることができた。
3)麹菌マイクロアレイを用いてHap複合体の標的遺伝子群を網羅的な同定を行ったところ、リボソーマルタンパク質遺伝子、翻訳開始因子遺伝子などの翻訳関連遺伝子の発現がHap複合体によって一様に抑制されていることが明らかとなった。代表的なリボソーマルタンパク質遺伝子を取得し、現在、解析を進めている。
以上の結果より、Hap複合体により転写抑制を受ける遺伝子を同定することができ、どのような遺伝子がHap複合体に制御されているかという観点から、麹菌におけるHap複合体の制御ネットワークの全体像を明らかにする糸口を掴むことができた。
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