地球温暖化に伴う京都議定書の発効により、未利用リグノセルロース系バイオマス資源からバイオエタノールを高効率で生産することが国際的な研究課題としてクローズアップされている。本研究の目的は、新規エタノール発酵細菌であるZymobacter palmae のゲノム解読情報を利用したDNAマイクロアレイ解析により得られる網羅的な遺伝子発現情報(トランスクリプトーム)に基づき、エタノール発酵条件下における糖輸送、糖代謝、エネルギー代謝、およびストレス応答に対して密接に関連した遺伝子群とその発現制御の全容を解明し、リグノセルロース糖化並行発酵性付与のための育種標的遺伝子群を特定して代謝工学的に育種を行う。平成21年度においては、昨年度までに完全解読に成功したZ. palmaeゲノム情報に基づき作成したカスタムDNAマイクアレイを用いて、発酵下の様々なストレス(発酵熱、高濃度エタノール、低pH、リグニン由来阻害物質)に応答して発現する遺伝子群の網羅的解析を継続して実施した。その結果、高温ストレス、高濃度エタノールストレス、酸ストレス時のストレス応答する特徴的な遺伝子を見出すことができ、さらに、発現上昇した遺伝子群の定量的な発現プロファイルを解析するためのQRT-PCR解析を行った。
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