研究課題/領域番号 |
19580110
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研究機関 | 山口県立大学 |
研究代表者 |
小川 雅広 山口県立大学, 共通教育機構, 教授 (10160772)
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研究分担者 |
熊丸 敏博 九州大学, 農学研究科, 准教授 (00284555)
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キーワード | イネ / PDI / 胚乳 / 突然変異 / 分子シャペロン / RNAi組換体 / MNU / プロテインボデイ |
研究概要 |
イネ胚乳に存在するPDI2-3の生理機能を明らかにするためにPDI2-3に関する突然変異体の選抜を改良Tilling法によって選抜を実施した。その結果、2系統の候補変異体が得られた。現在、この2系統についてPDI2-3の機能を調べるために固定系統の育成をした。今後、固定系統について調査を行う予定である。PDI2-3のイネ胚乳における生理機能を解明するためにPDI2-3活性を抑えた組換体(RNAi組換体)を作出し、PDI2-3の活性を調べたところ、その活性が、ほとんど抑えられていることが分かった。さらにこの変異体のPDI形成について調べた。その結果、野生型では、PBIは、球形をし、層状構造を有しているが、一方、変異体では球形ではなく、表面がでこぼこになっており、内部構造もきれいな層状構造が、形成されないことがわかった。 PDI2-3が、最も働くと思われるシステイン残基数の多い、10kDaプロラミンの欠損した変異体を作成した。この変異体のPBI形成を観察すると、PBIの形成に異常が見られ、PBI形成が、阻害され、球状にならない傾向が見られた。このことは、10kDaプロラミンが、PBI形成にきわめて重要な働きをしていることが推察された。さらにPDI2-3が、PBI形成初期において10kDaプロラミンの分子間S-S結合を促進し、PBIの核形成に重要な働きをしていることが推察された。 さらにPDI2-3が、PBIに局在する事を明らかにするために高圧急速凍結法によって、登熟種子を固定し、その試料を用いて免疫電子顕微鏡観察を行なった。しかし、PDI2-3が、cis-ER(嚢状小胞体)より優位にPBIに局在する事を示せなかった。現在、高圧急速凍結法についてさらに検討を重ねている。 PDI2-3の局在部位を解明するためにPDI2-3遺伝子が特異的にシグナルは発するように蛍光色素を結合させた組換体を作成し、その蛍光の所在を調べたところ、小胞体内腔の球形をした顆粒、恐らく形成中のプロラミンPBIと思われた。以上ことからPDI2-3は、PBIの近傍に局在していることが裏付けられた。
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