本研究は(1)β-L-アラビノピラノシダーゼが実在する酵素であるかどうか。(2)AGPの分解におけるβ-L-アラビノピラノシダーゼの有用性。(3)β-L-アラビノピラノシダーゼの基質認識メカニズム。の3点を解明することを目的とする。 本年度は(1)C末端側の糖結合モジュールを欠失させた変異体及び糖結合モジュールのみを発現させ、基質特異性及びガムアラビック分解における機能を明らかにすることを試みたが、各モジュールのみを発現させることは出来なかった。プロテアーゼ処理により各ドメインを分離することも試みたが、プロテアーゼが全く作用せず、分離できなかった。(2)しかしながら、昨年度に成功したC末端側に存在する糖結合モジュールを含む天然の状態の酵素の結晶を用いて構造解析を行い、世界で初めてβ-L-アラビノピラノシダーゼの立体構造を明らかにすることができた。(3)更に、結晶にアラビノースやガラクトースをソーキングして、糖が結合したβ-L-アラビノピラノシダーゼの立体構造を明らかにし、β-L-アラビノピラノシダーゼが基質をどのように認識しているかを明らかにした。(4)以上の情報をもとに基質認識メカニズムを解明するための変異体酵素のデザインを行った。
|