「目的」グアノシン5'-ニリン酸3'-ニリン酸(ppGpp)が転写・翻訳制御する葉緑体遺伝子をin vitroの実験系で特定する予定でいたが、本実験系におけるppGppのRNAポリメラーゼ阻害活性が高くなかった。そこで、ppGpp合成酵素遺伝子を過剰発現させたタバコを作製し、ppGppの植物に対する影響を確認することとした 「結果」 1.ppGpp合成遺伝子変異植物体の作製 シロイヌナズナ(A.thaliana)のppGpp合成酵素遺伝子の一種であるCRSHをクローニングし、バイナリーベクター(植物遺伝子導入用ベクター)に組み込んだ。本ベクターを導入したアグロバクテリウム(A.tumefaciens)をタバコ(N.tabacum)の葉切片に感染させた。約1ヵ月後に形成された不定芽は順化させた後、培養土に移植、栽培し、種子を得た。この種子から得られた植物体をカナマイシン耐性を指標として選抜して、耐性のある植物体をppGpp合成酵素遺伝子過剰発現植物体とした。本遺伝子過剰発現体は現在生育中である。今後は、この遺伝子過剰発現体のCRSH遺伝子発現量の解析、表現型の観察、植物体内のppGpp量の分析により、本植物体において過剰に発現させたppGpp合成酵素が機能しているのか否かを確認する予定である。 2.ppGpp合成遺伝子過剰発現植物体葉緑体タンパク質のプロテオーム解析 前項で得られた遺伝子変異体を使用し、本実験を行う予定でいたが、未だ植物体が十分に成長していないため、本実験は今後行なう予定である。
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