研究概要 |
植物におけるプロスタグランジンの代謝経路およびその存在意義は解明されていない。本研究では、新規生理活性天然物の探索の一環として、オゴノリ属のエイコサノイドを精査した。その結果、フイリピン産カタオゴノリG. edulisに新規プロスタノイド1種、および日本産オゴノリG. vermiculophyllaにヒドロキシエイコサノイド2種の存在を認め、これらの単離と構造解析を行なった。 新規プロスタノイドは、非常に微量しか存在しなく、1.5kgの海藻から0.1mg程度しか得られなかったが、ESI-negative modeで[M-H]^-m/z 365をあたえる成分が存在した。これをUK365と仮称し精製した。HR-ESI-MS (negative) m/z 365.19557 (Calcd for C_<20>H_<29>O_6 365.19642 Δ0.84mmu)より分子式をC_<20>H_<30>O_6と決定した。UV(λ_<max> 265 nm, MeOH)を与え、共役系の存在が示唆された。バアンにより800 MHzコールドプローブでCOSY, TOCSY, HSQC, HMBC、ROESYを測定し、その相関から面構造を決定し、新規のPGD2のレトロアルドール反応物と考えられた。また、オゴノリより得られヒドロキシエイコサノイド2種はGC/MS及びCOSY, HSQC, HMBC, NOESY 1Dから4,8-dihydroxyeicosa-(5Z, 9E, 11Z, 14Z)-tetraenoic acid (4,8-diHETE)と4,8,15-trihydroxyeicosa-(5Z, 9E, 11Z, 13E)-tetraenoic acid(4, 8, 15-triHETE)と決定した。HL60に対して細胞毒性は示されなかったが、珪藻に対して増殖阻害活性が認められた。
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