• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2008 年度 実績報告書

植物のストレス応答性受容体型キナーゼのシグナル伝達機構の解析

研究課題

研究課題/領域番号 19580121
研究機関東京大学

研究代表者

刑部 祐里子  東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 講師 (50444071)

キーワード受容体型キナーゼ / 水分ストレス / アブシジン酸 / シグナル伝達 / ペプチドホルモン
研究概要

細胞膜は様々な外部環境因子感受の場である。これまで乾燥・塩および低温などの水分ストレスに対する植物の耐性機構を解明する為に、申請者らは細胞膜局在性の水分ストレス応答性受容体型キナーゼに着目し解析した。水分ストレス及びその応答に重要な植物ホルモンであるアブシジン酸(ABA)に誘導性を示す、シロイヌナズナ受容体型キナーゼReceptor-like Protein Kinasel,RPKlは,膜局在性の受容体型キナーゼであり、我々は欠失変異体rpkl-1,rpkl-2が,植物の水ストレス応答に重要な植物ホルモンであるアブシジン酸(ABA)に対し非感受性を示すことを明らかにした。RPKlは種子休眠、根の伸長成長、気孔閉鎖、一遺伝子発現の調節等、様々なABA応答反応の制御を行うこと、およびRPKlが細胞膜上で機能する受容体タンパク質でるため、細胞膜でのABAシグナル伝達に重要な役割がもつことが示唆された。シロイヌナズナのRPKlの高発現がシロイヌナズナに与える影響を解析するために,CaMv35Sプロモーター制御下でRPKlを過剰発現する形質転換植物体を作製した。得られた植物体はABAによる根の伸長抑制、気孔閉鎖等に対しABA高感受性を示した。また,RPKl過剰発現植物体は乾燥ストレスに対し耐性を示すことが明らかになった。さらに、マイクロアレイ解析の結果,RPKl過剰発現体では,水分ストレス応答性遺伝子および活性酸素(ROS)生成系遺伝子の発現が誘導されており、ROS消去系酵素活性が上昇していた。RPKl過剰発現体は活性酸素ストレスに対する耐性を示した。以上の結果はRPKlの高発現により、水分ストレスだけでなく活性酸素ストレス耐性に関与するシグナル伝達経路が増強されたことを示唆している。RPKl-GFPの局在性の解析の結果,RPKlは通常の生育条件下では細胞膜に局在し,高浸透圧下では細胞膜および未知の顆粒状の細胞内小器官に局在がみられた。RPKlの局在する細胞膜の動態が浸透圧条件下で変動することにより、RPKlの機能が制御されることが示唆された。

  • 研究成果

    (6件)

すべて 2009 2008

すべて 学会発表 (5件) 図書 (1件)

  • [学会発表] シロイヌナズナのストレス誘導性受容体様細胞質型キナーゼ遺伝子の機能解析2009

    • 著者名/発表者名
      田中秀典・刑部祐里子・桂彰吾・水野真二・篠崎一雄・篠崎和子
    • 学会等名
      第50回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20090321-24
  • [学会発表] 水分ストレス誘導性受容体型キナーゼRPKlのABAシグナル伝達機構における機能解析2009

    • 著者名/発表者名
      刑部祐里子
    • 学会等名
      第50回日本植物生理学会年会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      20090321-24
  • [学会発表] 水分ストレス誘導性受容体型キナーゼRPKlのABAシグナル伝達機構におけう機能の解析2008

    • 著者名/発表者名
      刑部祐里子
    • 学会等名
      第31回日本分子生物学会年会・第81回日本生化学会大会合同大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20081209-12
  • [学会発表] シロイヌナズナの低温誘導性受容体様プロテインキナーゼLIKlの機能解析2008

    • 著者名/発表者名
      田中秀典
    • 学会等名
      第31回日本分子生物学会年会・第81回日本生化学会大会合同大会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      20081209-12
  • [学会発表] シロイヌナズナのストレス誘導性受容体様細胞質キナーゼARCKlの機能解析2008

    • 著者名/発表者名
      田中秀典
    • 学会等名
      特定領域研究「植物の養分吸収と循環系」第3回ワークショップ
    • 発表場所
      別府
    • 年月日
      20081022-23
  • [図書] 分子生物学辞典第2版2008

    • 著者名/発表者名
      刑部祐里子
    • 総ページ数
      1200
    • 出版者
      東京化学同人

URL: 

公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi