研究課題
(1)鱗翅目幼虫の唾液中から、植物に抵抗性を誘導させるvolicitinが同定されている。平成19年度に、このvolicitin類縁体をタイワンエンマコオロギ(直翅目)、キイロショウジョウバエ幼虫(双翅目)からも同定した。鱗翅目幼虫のvolicitin類縁体の多くはリノレン酸とグルタミンの縮合物であるのに対し、コオロギ・ショウジョウバエから同定された類縁体は、リノレン酸とグルタミン酸との縮合物であった。(2)タイワンエンマコオロギから同定されたlinolenoyl-L-glutamic acidの生合成について検討した。コオロギ中腸をリノレン酸、グルタミン酸とインキュベートしても、グルタミン酸縮合物は生成しなかった。しかしながら、中腸をリノレン酸、グルタミンとインキュベートすると、グルタミン縮合物だけでなく、グルタミン酸縮合物の生成をLCMSで確認した。(3)そこで、アミノ基またはアミド基を15Nラベル体窒素で標識したグルタミンを用い、それぞれリノレン酸縮合物を合成した。この縮合物を中腸とインキュベートし、生成物をLCMSで分析した。その結果、前者からはラベル体窒素を保持したグルタミン酸縮合物が、後者からはラベル体窒素を失ったグルタミン酸縮合物が検出された。(4)以上の結果、タイワンエンマコオロギのグルタミン酸縮合物の生合成について、以下のように結論した。すなわち、先ずグルタミンがリノレン酸と縮合し、その後linolenoyl-L-glutamineのグルタミン部分のアミノ基が水酸基に置換されて、グルタミン酸縮合物が生成する。
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FEBS Journal (in press)
Journal of Chemical Ecology 33
ページ: 1376-1381
Japanese Journal of Environmental Entomology and Zoology 18
ページ: 91-95
http://www.chemeco.kais.kyoto-u.ac.jp/publish.html