研究課題
本研究は、近年n-3系脂肪酸に由来する新規の生理活性物質が解明されてきている研究の流れを受け、それらの生合成経路及び更なる新規生理活性物質の解明をめざし、リポキシゲナーゼ(LOX)の関わりを解明しようとするものである。初年度は、表皮系LOXの一種である8S-LOXが、ドコサヘキサエン酸(DHA)から、神経保護因子(Neuroprotectin D1, NPDl)様の物質を生成し得ることを解明した。平成20年度は、まず、この反応の機構をより詳細に検討した。動物LOXの基質は主にアラキドン酸(AA)であると考えられている。AAが動物LOXの基質結合部位と相互作用する場合、通常、酵素により、カルボキシル基側またはメチル基側のいずれから基質結合部位に侵入するのかが限定されている。しかしながら、今回の検討により、先のDHAとLOXの反応では、両側から酵素の基質結合部位に侵入することが示唆された。これは、DHAがより多様なLOX反応を受け得ることを示す。他のn-3系脂肪酸でも検討を続けている。一方、本年度は、LOX反応の新たな測定方法の開拓も行った。LOX反応の測定では、通常、共役ジェンの生成に伴う吸光度の増大を経時的に測定する。本方法は簡便ではあるが、多数の反応を同時に行うことはできない。そこで、ferric-xylenol orange(FOX)を用いた、高感度検出法を開拓した。これにより、多数の反応条件を同時に検討することが可能となった。この成果はJoumal of Neutritional Science and Vitaminologyに発表した。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry 73
ページ: 1811-1817