研究概要 |
エマルションの生成の動力学および安定性の定量的理解はいまだに充分ではなく、エマルション化行程は経験によって設計されている。定量的で合理的な設計を目指して、特徴的なエマルション化装置をとりあげ、O/W型エマルション生成のために投入するエネルギーと生成したエマルションの総界面エネルギーの関係を明らかにすることを目的とした。高速回転するローターと固定されたステーターの間隙で剪断力により微油滴化を行うポリトロンホモジナイザー、膜の孔を通過する間にエマルション化を達成する膜乳化装置および油水混合液を高圧(45-150MPa)で弁のような微細間隙を通すことにより微油滴化する高圧ホモジナイザーを用いてエマルション化し、粒径分布より獲得界面エネルギーを求め、操作で投入した機械的エネルギーとの比すなわちエマルション化効率を算出した。対象材料として、水-オクタン酸トリグリセリド系と水溶性界面活性剤ラウリル硫酸ナトリウム及び(20)ソルビタンモノラウレートを採用した。実験の操作条件は、油水比0.1,0.2、ポリトロン乳化の場合3000rpm、膜乳化の場合、操作圧0.09-0.5MPa、高圧ホモジナイザーの場合、操作圧45-150MPaで行った。その結果以下のことが明らかとなった。1)実用的操作条件ではエマルション化効率は著しく低く、エマルション化過程はエネルギー消費型である。2)ポリトロン乳化の効率は最も低い。3)膜乳化、高圧ホモジナイザーの場合、エマルション化効率が、仕事率(W)を処理流量で割った値(圧力に相当しPaで示される値)と相関することを理論的に推測した。4)実験結果にこの考えを適用したところ、エマルション化効率が仕事率/処理流量比の減少関数となり、さらに、膜乳化、高圧ホモジナイザーの結果を統一的に説明することができた。
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