研究概要 |
ベニバナ油を窄汁後の種子残渣は2種類のセロトニン誘導体(p-coumaroyl serotonin; CS, feroyl serotonin; FS)を含んでおり、近年、同誘導体の生体内における動脈硬化抑制作用などが報告されている。しかし、セロトニン誘導体の生体内吸収や代謝についての詳細な報告については見当たらない。そこで、本研究はこれらの誘導体の抗酸化作用を明らかにすると共に、ラットにおける吸収や代謝などの体内挙動の解明を目的とした。平成19年度は2種類のセロトニン誘導体の抗酸化作用とラットにおける消化管吸収の解明を実施した。セロトニン誘導体のin vitroにおける抗酸化作用をDPPHラジカル消去作用により評価した結果、何れの誘導体も良好な抗酸化作用を示した(IC_<50>CS=17.84μM、FS=18.72μM,Trolox=28.98μM)。次に、血清試料中の各セロトニン誘導体を検出する為、前処理方法とHPLC分析条件の検討を実施し、血清に等量のアセトニトリルを添加する事により、再現性の高い良好なデーターを得る事が出来た。そこで、同法を利用して2種類のセロトニン誘導体の標準品を頚部静脈カテーテルを施したラットに経口および、静脈内投与して、その消化管吸収について検討を加えた。CSおよびFSの静脈内投与後、何れも2-コンパートメントモデルに従い血中から消失する事が明らかとなった。一方、これらの誘導体を経口投与した場合、何れの誘導体も投与後5分で血中に投与したままの形で検出される事が明らかとなった。これらの誘導体の血中濃度は経時的に増加し、何れの誘導体も経口投与後30分に最大血中濃度(CS=40μM,FS=90μM:100mg/kg体重投与時)に達した。一方、経口投与量を変化させて血中濃度の推移を険討したところ、セロトニン誘導体の投与量依存的に血中濃度が増加する事が明らかとなり、検討を加えた投与量の範囲(10〜100mg/kg体重)では、消化管吸収における飽和は生じていない事が明らかとなった。
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