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2008 年度 実績報告書

母乳哺育による経口免疫寛容の誘導

研究課題

研究課題/領域番号 19580153
研究機関京都女子大学

研究代表者

成田 宏史  京都女子大学, 家政学部, 教授 (30155999)

キーワード母乳哺育 / 食物アレルギー / IgA / 免疫複合体
研究概要

1.目的:我々はこれまでに、ヒト母乳中に食物抗原が分泌型IgAとの免疫複合体として存在していることを明らかにしてきた。本研究は、母乳中の免疫複合体がこれを飲んだ乳児における経口免疫寛容の誘導因子である可能性を、動物実験により明らかにするために行った。
2.方法・結果:食餌中のタンパク質が卵自由来のみのE群、牛乳由来のみのM群に分けてラットを飼育した。それぞれの母乳のみで育った3週齢の仔ラットにフロインド助剤を用いて卵白タンパク質を免疫した場合には、M群ではオボアルブミンに対するIgGが産生されるのに対し、E群ではほとんど産生されなかった。逆に、牛乳タンパク質を免疫した場合には、M群でカゼインに対するIgG産生の抑制が見られた。さらに、E群の母乳のみで育った3週齢のBalb/cマウスをAlumを助剤として卵白タンパク質で免疫したところ、オボアルブミンやオボムコイドに対するIgE産生がM群に比べて抑制されていた。つまり、母親が食べているタンパク質に対する経口免疫寛容が、その母乳を飲んでいる乳児に誘導された。
3.考察:母乳は食物アレルゲンに対する経口免疫寛容成立のワクチンとして機能しており、母乳哺育がすでに離乳食の開始である可能性が示唆された。母乳哺育の利点に関してはこれまでにも免疫学的のみならず栄養学的、精神的に数多くの報告があるが、食物アレルギーの予防に積極的に関与していることを示した意義は大きいと考える。さらに、本結果は母乳哺育の推進に役立つことはもちろん、授乳婦の食生活の管理・適切な授乳法と言った、良質な哺乳を介した健康的かつ経済的な食物アレルギーの軽減・予防にも寄与すると考えている。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2008

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 日本人母乳栄養児(0〜5カ月)の哺乳量2008

    • 著者名/発表者名
      廣瀬潤子
    • 雑誌名

      日本母乳哺育学会雑誌 2巻

      ページ: 23-28

    • 査読あり
  • [学会発表] 唾液中の食品たんぱく質・IgA免疫複合体の生理的意義2008

    • 著者名/発表者名
      成田宏史
    • 学会等名
      日本唾液腺学会
    • 発表場所
      文京学院大学
    • 年月日
      2008-12-06
  • [図書] 「母乳哺育と食物アレルギー」小林、金子編「食物アレルギーの治療と管理」(改訂第2版)2008

    • 著者名/発表者名
      成田 宏史
    • 総ページ数
      218-224
    • 出版者
      診断と治療社

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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