研究課題
2005年の健康日本21の中間評価では「糖尿病が強く疑われる人」と「糖尿病の可能性を否定できない人」の合計が約1620万人に達し、5年前に比べて約250万人も増加している。このような現状の背景には摂取エネルギーの増加などがある。しかし、摂取エネルギーを制限すると、食事に満足感が得られないことから、食事療法は実際には充分な効果が得られていないことが多い。満足感を充足しながら血糖値をコントロールできる食品が、糖尿病予防の観点から緊急に求められている。これまで、日本人の主食である米に、非水溶性食物繊維が有する機能を付加することで、血糖値上昇率を抑制できることが示されてきた。本年度は、申請者が発案した結晶セルロースをコーティングした米の食味の改良および食後血糖に与える影響を明らかにする目的でヒト試験を行った。対象者は年齢22~60歳までの男女10名を用い、倫理委員会およびインフォームドコンセント取得した。前夜絶食後に、昨年用いたセルロース5%添加米、あるいはセルロース2%とハイドロキシプリピルメチルセルロース(HPMC)0.8%を添加した米、普通米(対照)の3種類の飯を対象者にそれぞれ食べてもらうというクロスオーバー試験を行った。成分分析の結果を基にデンプン50gになるようにそれぞれの米飯の摂取量を設定し、3時間の間に経時的に7回採血し、血清グルコース濃度を測定した。血清グルコース濃度は、対照>セルロース5%添加米=セルロース2%+HPMC0.8%添加米(p<0.05、Friedman検定の後の専用の多重比較による)であり、HPMCも添加することでセルロース添加量を減少させても効果は保たれた。しかし、食味に関しては普通米に比べて、セルロース5%添加米とセルロース2%+HPMC0.8%添加米ともに有意に低く、食味の改善には至らなかった。
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